脊椎分離症や加齢により脊椎がずれてしまう腰椎すべり症や、外から骨を押しつぶすような力が働き、その圧迫により起こる腰椎圧迫骨折などは、初期症状であれば保存療法と呼ばれる内服や注射、リハビリなどでの治療が有効ですが、3ヶ月以上の保存療法で改善がみられない場合や、神経麻痺・歩行障害などの強い症状がみられる場合は、手術を検討します。
手術により約70~80%の症状が改善するとされていますが、効果については個人差があり、腰痛や下肢のしびれなどの症状が残る場合もあります。ここでは、腰椎すべり症・腰椎圧迫骨折の手術に際してのスケジュールやリハビリなどについてご紹介します。
CTやレントゲン撮影、MRI検査を行います。分離症は、レントゲン検査だけでは診断がつかないことが多いため、CTやMRI検査も用いながらの診断となります。
入院時にミエログラフィーと呼ばれる脊髄腔造影検査を受けます。検査当日は、食事を控える必用があります。検査の前に点滴を開始します。※ミエログラフィーの検査では、ヨード造影剤の注入が行われるため、喘息の持病がある場合または、ヨード造影剤で副作用があった場合などは、医師への申し出が必用です。
実際の検査は、所要時間が10~20分程度で、検査室で背中を丸めるように寝た状態を保ち、細い針を使用して腰椎を通して神経組織のまわりにある硬膜中にヨード造影剤を注入していきます。その後、姿勢などを変えた場合の神経の圧迫などを検査します。結果説明を受けた後、数日間はベッドで安静にします。
手術前日は食事に制限があります。手術室で手術を受ける当日は、朝から点滴を受け、点滴をした状態で手術室に入ります。術後は、身体の横から管がつながっている状態になるので注意が必用です。
翌日までは、脈や酸素の量を測定する機器を身体につけ、点滴をしたままベッドで安静な状態を保ちます。この時寝返り程度の動きは可能です。
術後1日後から食事を摂ることができリハビリを開始します。血液検査や抗生剤などの点滴治療を受けたあと、専門スタッフの指導のもとに起立・歩行の訓練を徐々に始めます。
リバビリを行いながら病室で過ごし、医師の診断や血液検査を受けた上で結果が安定・改善していると判断された場合は、シャワー浴が行えます。
傷の状態をみて状態がよければ抜糸。レントゲン検査などで、体全体の様子を確認します。
専門スタッフ・医師が、傷の状態・全身の状態を見極めて退院可能かどうかの判断をし、可能であれば退院に向けての説明を受けます。経過が 順調であれば10日後に退院となります。
術後1~2ヶ月間は、入院時と同じように比較的安静な状態を心がける必用があります。就寝にはベッドを利用しトイレは洋式が理想的です。
椅子に座る状態は腰への負担がかかるため、食事の後などに1時間程度ベッドに横になる時間をつくりましょう。腰を前や左右に曲げる、ねじるなどの激しい動作は行わないようにし、腰をゆっくり動かすことを意識し、徐々に動作を増やしていくように生活します。完全に骨がつくまでの約6ヶ月は無理のない生活が基本となります。